ひろみ

 今、私はひろみに注目している。
 ひろみといっても、「ふたりっ子」で双子の片割れを好演した岩崎ひろみではない。かといって、「聖女たちのララバイ」を歌い上げた岩崎宏美でもない。
 そう、いま私が注目しているのは、郷ひろみである。
 かつて、新御三家の一人として、アイドルとしての人気を極め、今でも「ジャパ〜ン」を決め台詞に、「いい男だけどどっかヘン」というキャラでタレントとして活躍している。(現在は休止中らしい)
 その郷ひろみが、先日、とあるパチンコ台を全面プロデュースした。その名も、「Go!Go!郷」である。真ん中のスタート部分に玉を入れると、あの名曲「男の子女の子」のイントロと共にスロットリールが回りだす。リーチがかかると、「男の子女の子」のみならず、「2億4千万の瞳」「How Many いい顔」「Goldfinger'99」などの名曲と共にアニメーションが展開される。見事アタリを引き当てれば、以上4曲の中から2曲がランダムに選曲され、実写郷ひろみの静止画像と共に曲が流れ出すと言った代物である。
 このパチンコ台、最近の傾向としては当然なのだが、よくしゃべる。「2億4千万の瞳」であれば、「♪みつめあ〜う〜ひ〜とみはレーザービームで〜」というフレーズの後にアニメ郷が本当に目からビームを発射してリーチ目を打ち落としたり、「おく、せん、ま〜ん!」という本人の掛け声と共に、リーチ目が空高く舞い上がり、引き当てた数字だけが墜落する、と言った仕掛けが展開されるし、「Goldfinger'99」では炎と共に郷とリーチ目が踊って回りだすという演出が起きる。
 郷ひろみのキャラ、楽曲、ビジュアル。
 楽曲ひとつとっても、「男の子女の子」では、しょっぱなから「♪僕たち男の子(Go! Go!)〜君たち女の子(Go! Go!)♪」の先制パンチである。その辺の凡百の民ではこのフレーズを堂々と公衆の面前で口にするのは難しい。「2億4千万の瞳」の「♪ジャパ〜ン」しかり、「Goldfinger'99」の「♪a-chi-chi-a-chi」しかり。本来の意味での「アイドル」とは、こういうことではないのだろうか。完全な非現実ではなく、日常から10cmほど浮いているような微妙な非日常。
 私はゲーセンの店員のバイトをやっているので、バイトに行くと常にこの台と向き合う羽目になるのだが、郷ひろみの声が聞こえてくると、つい目を向けてしまう。そうなったらもはやその目をそむけることができなくなる。この台を見ると、やはり郷ひろみとは、現在もまだ「アイドル」であり、「スター」(にしきのあきらではなく)であるなあ、と思うのである。

 郷ひろみ公式:http://www.hiromi-go.net/
 「Go!Go!郷」サイト:http://www.newgin.co.jp/pub/machine/go/index.shtml